遭難しない!登山者のためのセルフレスキュー術と必携装備

「遭難」という言葉を聞くと、まるで他人事のように感じるかもしれません。しかし、日本の山岳遭難件数は年々増加しており、どんなベテラン登山者でも遭難のリスクはゼロではありません。

この記事では、万が一の事態に備えるための専門的な知識と具体的なセルフレスキュー術を解説します。登山計画から必携装備、そして非常時の対処法まで、あなたの身を守るための実践的なガイドです。

Avoid getting lost

Avoid Getting Lost! Self-Rescue Techniques and Essential Gear for Hikers

遭難の原因を理解する:なぜ遭難は起こるのか

遭難を防ぐためには、その根本的な原因を理解することが重要です。

1. 道迷い
最も多い遭難原因です。地形図の読み間違い、GPSの過信、ガス(霧)や降雨による視界不良などで、ルートを外れてしまうことが原因です。

2. 転倒・滑落
特に急峻な岩場や、濡れた木の根、不安定なザレ場などで発生します。疲労の蓄積や不注意が原因となり、行動不能に陥ることがあります。

 3. 悪天候
山の天気は変わりやすく、予期せぬ雷雨、強風、降雪などが行動の継続を困難にさせ、遭難に繋がります。

4. 体調不良
高山病、熱中症、低体温症などの急な体調不良や、持病の悪化によって行動不能になるケースです。

遭難しないための事前のリスクマネジメント

遭難を防ぐ第一歩は、出発前の徹底した準備です。

 1. 登山計画の策定
無理のない計画を立てることが最も重要です。
情報収集
最新の気象情報、コース状況、入山規制などを確認します。
コースタイム設定
自分の体力に合った無理のないコースタイムを設定しましょう。
下山時間の設定
日没時間や最終交通機関の時間を考慮し、余裕を持った下山時間を設定します。

2. 登山届の提出
登山届は、万が一の事態に備えるための最も重要な手続きです。
警察や管理事務所へ
地域の警察署や登山口にある提出箱に提出します。
アプリの活用
ヤマレコやヤマップなどの登山アプリを使えば、オンラインで簡単に提出できます。

遭難を防ぐための必携装備

遭難リスクを軽減するために、必ず持っていくべき装備を紹介します。

 1. ナビゲーションツール
地図とコンパス
GPSのバッテリーが切れたときのために、必ず持っていきましょう。地形図の読図能力は、遭難回避の基本です。
GPS機器
スマートフォンアプリや専用のGPS機器は、現在地を正確に把握する上で非常に有効です。

2. 連絡・通信機器
携帯電話
圏外になる可能性もあるため、バッテリーは満タンにしておきましょう。
予備バッテリー・モバイルバッテリー
スマートフォンやGPS機器のバッテリー切れを防ぐために、必ず持っていきましょう。

 3. 防災・非常用装備
ファーストエイドキット
絆創膏、消毒液、テーピング、鎮痛剤など、最低限の救急用品を入れておきましょう。
ツェルト
悪天候時の緊急避難場所として、また低体温症予防に役立ちます。
ヘッドライト
日没後の行動や夜間のビバークに必須です。予備の電池も忘れずに。
エマージェンシーシート
軽量ながら高い保温性を持ち、緊急時の防寒具として役立ちます。

万が一、遭難してしまったときのセルフレスキュー術

どれだけ準備をしても、遭難する可能性はゼロではありません。万が一のとき、自分の身を守るための行動を覚えておきましょう。

 1. S.T.O.P.の原則
道に迷ったときは、焦って動き回らないことが何よりも重要です。
S (Stop)
その場で立ち止まる。
T (Think)
落ち着いて考える。
O (Observe)
周囲を観察する。
P (Plan)
計画を立てる。

2. 怪我や体調不良への対処
ファーストエイド
怪我をした場合は、応急処置を行い、できるだけ早く下山するか、救助を要請します。
ビバーク
症状が重い場合や、日没が近い場合は、無理に動かず安全な場所でビバーク(野営)をします。ツェルトやエマージェンシーシートを使い、低体温症を防ぎましょう。

遭難しないための心構え

安全な登山は、装備や技術だけでなく、心構えから始まります。

 1. 情報を共有する
家族や友人に、登山計画を伝えることで、万が一のときに早期の捜索に繋がります。

 2. 撤退する勇気
悪天候や体調不良、時間切れなど、少しでも危険を感じたら、引き返す勇気が必要です。「もう少しだけ」という油断が、遭難に繋がります。

まとめ

登山は自然を相手にするアクティビティです。どれだけ経験を積んでも、不測の事態は起こりえます。

今回ご紹介したセルフレスキュー術と必携装備は、あなたの命を守るための大切な知識です。これらの情報を頭に入れて、より安全で充実した登山を楽しんでください。

パタゴニア
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